現在、ブレント原油105.32$/bblに対して、シンガポールのジェット燃料・ケロシン価格は170.76$/bblです。リッター換算で158円/$として約170円!運賃と保険料を入れると200円を超えます。
原因1:中東の製油所停止・輸出減少
中東は原油だけではなく、軽油やジェット燃料、ナフサなどの石油製品も大量に輸出しています。ところが、紛争による紛争による製油所の稼働低下と海上輸送の混乱で、製品の供給が減少しています。
原因2:原油があっても、製油所まで運べない
ここが今回の危機の特徴です。米州では原油が余っている一方、アジアや欧州では製油所が必要とする原油を十分に確保できないという現象が起きています。ロイターは10月12日、タンカー運賃の急騰によって米州の重質原油が滞留し、アジアや欧州への輸送が難しくなっていると報じました。つまり、世界全体で原油が存在していても、それを必要とする製油所へ届けられなければ、灯油は増産できません。
原因3:軽油とジェット燃料が同じ中間留分を奪い合う
灯油、ジェット燃料、軽油は、製油所で生産される中間留分に属します。航空燃料の需要が強ければ、製油所は収益性の高いジェット燃料の生産を優先することがあります。その結果、灯油や軽油の生産量が減る場合があります。IEAも、2026年夏のジェット燃料市場の逼迫が、製油所によるケロシン生産の最大化とガスオイル生産比率の低下につながったと分析しています。
原因4:ロシアの製油所被害が重なっている
中東に加え、ロシアの製油所も攻撃による被害を受けています。IEAによれば、ロシアと中東からのガスオイル純輸出は9月に合計約82万バレル/日となり、前年同期から60%以上減少しました。中東だけの供給障害であれば、他地域からの代替調達が可能な場合もあります。しかし、ロシアも同時に供給を減らしているため、世界の中間留分市場に余裕がありません。
原因5:北半球の冬需要が始まる
れから北海道をはじめ、日本、韓国、欧州などで暖房需要が増加します。市場参加者は実際の冬需要が始まる前から在庫を確保しようとするため、先行して価格が上昇する場合があります。10月16日公表のSparta Commoditiesの分析でも、アジアのジェット燃料価格を支える要因として冬季の灯油需要増加への期待が挙げられています。
このように、今回の北海道における灯油の高騰は、世界情勢の様々な要因が重なり合って発生しています。ナフサの時のように本質的な問題を捉えずに、表面的な安心感の演出-「量は足りている、国内の目詰まりなんだ」に振り回されないよう、エネルギー事業者は一次情報で判断するようにしましょう。
