
LPガス事業者は全国に約1万6千社あり、その66%が保有顧客500軒以下の小規模事業者です。いま、業界ではM&Aが加速化しつつあるのと、後継者不在問題もあって、特に地方の小規模事業者が姿を消しつつあります。経産省は基本的に合理化・効率化を推し進める姿勢を堅持していて、M&Aの動きはむしろ後押しするでしょう。
しかし、それでいいのでしょうか。
仕事柄、全国色々なところに行かせてもらっておりますが、主要都市の駅を降りると、どこも同じ風景に見えてしまうのです。駅前にあるビッグカメラ、テナントに入ればユニクロにマクドナルド、少し歩けばドンキホーテにスターバックス・・。

大企業が資本にモノを言わせて立地戦略を取る結果、大きな駅の前は「どこでもよく見る光景」と化してしまい、都市というか地域の独自性が感じられず、何となく寂しい想いを感じるのは私だけでしょうか。
今、住んでいる街はとても居心地がいいんです。量販店がほとんどない。ほとんどないと言うと言い過ぎですが、まあ数えるほどで、圧倒的に地域の地場のお店が多いんですよ。どことなくレトロな感じが残っていて、しかし落ち着いた雰囲気の街。
地元の人が安心して集える居酒屋があったり、気軽に立ち寄って話が出来る雑貨屋があったりと、地元の店で地域が構成されて、殺風景とは真逆の立ち位置な感じ。
ガス事業者もその地域の暮らしを支える縁の下の力持ち。
近所で困ったことがあればすぐに呼ばれ、駈け寄れる長年築いてきた信頼関係。それが広域店になってしまうと、何となく殺風景な雰囲気が広がっていってしまう感じが怖いんです。
機械的な対応、そして料金だけで替わる顧客を作り出してしまう一部大手の営業手法、街から消えていく大切な何か・・。ある事業者さんがこんなことを言ってたんです。「某大手には絶対に顧客を奪われてはならいんです。何故なら、彼らは獲った後の保安がいい加減だからです。だから、エリアのお客さんのために、絶対にあの大手にだけは獲られてはならんのです」
地域を守るため、地域の灯を消さないために、その地域で生きてきた小さい店には、今後とも生き残って欲しいのです。

