※今回はメルマガでお送りした内容をほぼそのままお送りします。
配管等の設置費用を負担した戸建て住宅で、ガスの契約を途中で解約された場合に、購入者に対して設置費用を請求できるかが争われた裁判で、最高裁判所は、12月23日に「設置費用を請求できない」とする判断を示しました。
10年未満で解約した場合は支払いを求めるとした契約条項は、消費者契約法に基づき無効とするというもので、6件中5件で事業者の敗訴が確定し、1件は高裁に審理を差し戻しました。
裁判長は「取り決めの条項は、ガスの契約を長期間維持すること等を目的とするもので、実質的には解約に伴う違約金を定めた条項にあたる」と指摘。
消費者契約法ではこうした違約金が、契約の解除によって事業者に生じる平均的な損害額を超える場合、条項は無効になるとしています。
そのうえで、「ガス会社では契約者全体から得られる料金から設備の設置費用を回収する仕組みになっていて、解約によって会社に損害が生じたとはいえない。取り決めは無効」として、
ガス会社は設置費用を請求できないと判断しました。
-商慣行是正の講演でも触れさせて頂いておりました「消費者契約法」。
・事業者に一方的に有利
・消費者の自由な契約解除を不当に制限
・実質的な不利益を負わせる
こういった条項が無効になるわけです。
私が講演でお話しさせて頂いていたのは、「LPガス事業者が消費者に対して貸付配管の契約内容を詳しく説明し、消費者の理解を得たことを確認する措置を取ったとしても、その内容によっては、その条項は無効となります。
したがって、貸付配管のことが契約書に小さく書かれているだけで、消費者が確実に理解しているとは言えないような状況であれば、貸付配管の条項は無効になり得ます」というものでした(弁護士の松山先生からお教え頂きました)。
「貸付配管」の実務的構造は、
1.配管・ガス栓等を無償で設置
2.設置費用は請求しない
3.その代わり長期供給でガス代から回収
4.途中解約すると違約金・設備費請求
であり、今回、最高裁は4を明確に否定したことになり、貸付配管が成立する前提条件を消費者契約法で潰したとも取れます。
「業界全体として、今後の新規契約においては、貸付配管は行わない方向で取り組んでいくことが期待される」とした液化石油ガス流通ワーキンググループの中間とりまとめとも方向は一致しています。
今回の最高裁判決は、消費者契約法の強さをはっきりと示したものであり、実質的に司法が「貸付配管モデル」にブレーキを掛けたと言っていいと思います。
「業界が大きく変わる、変わらざるを得ない大きな契機となった判決」であると、私は評価しています。

