ということで、最近、商慣行是正について議論を深める場が新たにできまして。詳しいことはいつか公に出来る時期も来ると思いますが、各地でまだ「オーナー向けの営業」、特に「紹介料の支払い」が散見されます。
オーナーへの紹介料、エアコンや給湯器の無償貸与、修繕費の肩代わりといった慣行が、名目を変えながら一部では続いているようです。
そして彼らはこう言うらしい。「ガス料金には転嫁していないのだから問題ない」「戸当り55,000円は裁判でも自由競争の範囲内という裁判官の見解が出ている」-。
転嫁していないからとか、紹介料はいくらまでなら大丈夫とか、違うんじゃない?
と思い始めているわけです、最近。
賃貸集合住宅では言わずもがな、「ガス会社を選ぶのはオーナー」「ガス料金を支払うのは入居者」という構造がありますね。この状態でオーナーに経済的利益が供与されれば、入居者は最初から事業者を選ぶ余地がない。
選択権に歪みが生じているわけです。使う消費者が選ぶべきプロパンガスを、使わないオーナーが選んでるわけですよね。
そして、無償貸与や紹介料には、必ずコストが発生します。「クーラー、タダで貸しますよ」「オーナーさん、紹介有難うございます、一戸あたり55,000円、十戸なので55万円です」と渡して、回収しないわけにはいかないのです。
そのコストは、「当該物件」「他の物件」「将来の料金」いずれかで回収されます。
最終的な負担先は、結局、入居者しか存在しません。
従いまして、重要なのは「転嫁されているか」ではなく、「転嫁される構造を内包している」ことだと思うんです。そして紹介料も無償貸与も形が違うだけで本質は同じです。
金銭、現物、役務、いずれも経済的利益であり、契約の成立・維持を条件に供与される以上、同一の問題として扱うべきです。
さらに、もらう側も無傷ではありません。この慣行はガス会社だけではなく、利益を受け取るオーナー側がいて初めて成立します。
改正省令の趣旨からすれば、「利益供与を受けたオーナーも、消費者の選択を歪める取引の一端を担ったと評価され得る」という整理は、決して無理なものではありません。
・金額ではなく構造を見る
・名目ではなく実質で判断する
新しい法律を作らなくとも、これだけで紹介料、無償貸与モデルは成立しなくなります。
・・・昔、『白い巨塔(唐沢寿明が財前五郎役)』で裁判を起こした側が「なんだか俺たちが起こした裁判なのに、医者同士がよく分からない医学用語でやりあってて、俺たちが言いたいのはそこじゃない、財前という医者に謝らせたいだけなんだ!」というシーンがよぎります。
「紹介料はいくらまでが過大じゃないんだ?」「定量的な基準を設けるべき」と、私も思っていたのですが、なんか「紹介料そのものがおかしくないか?」と思い至っているところであります。
条件競争ではなく、料金・保安・サービスで選ばれる市場へ。それが業界全体の信頼回復に繋がるはずです。




