我々が当たり前のように使うようになったアプリ、『LINE』を創った森川亮氏の著作、「シンプルに考える」。この本が素晴らしいのです。ドラッカーシリーズに次ぐ、私の中では良き古典の部類に入る名著。
ビジネスの本質は「ユーザーのために全力を尽くすこと」
それがこの著作に貫かれている精神なのですが、現場はひたすらユーザーのために全力を尽くし、経営は現場が仕事にとことん集中できる環境を守る、それが長年、彼が思い描いてる理想であり、その状態の中でLINEが生み出されたと綴られています。
いまのLPガス業界は常に戦いの最中にある感じです。ライバルとの価格競争、これが地域によっては大勢を占め、この同質化競争にあらゆる事業者が巻き込まれている感すらあります。しかし、そこに「お客様目線」は存在するのでしょうか?
「シンプルにユーザーの事を考える、価値を徹底的に追及すれば利益は後から付いてくる」と、森川氏。この前、研修で若い営業の人たちと話したのですが、「無理に価格競争をし過ぎているような気がする」と、上の人たちが価格に過敏になり過ぎていると、私もそう思います。それって本当にお客様が求めていることなのでしょうか?
ライバルとの競争に目が行き過ぎて、本当にお客様が求めていることを考えなくなってしまう。お客様に「ありがとう」って言われることは何なのか、自分がやってもらって嬉しいこと、喜ぶことは何なのか、それを真剣に考えなくなってしまい、安易な価格競争に流れて会社が疲弊していく-本末転倒もいいところではないでしょうか。
今回、改正省令で大家さんを説得して無償貸与を有償契約に切り替えるのが、商慣行是正運動の根幹であり基本行動です。ですが、それを無視して相変わらず50,000円だのと紹介料をばら撒くブローカーも存在します。しかし、同じ競争に陥ってしまったら、業界を良くしていくための全体の努力が無に帰すことになりかねません。
改正省令の趣旨を説明し、理解してくれた大家さんこそ一生お付き合いできるお客様。その人たちが本当に求めているものは決してお金ではないはず。空室を埋めるための工夫を一緒に考えてくれるガス屋さん、給湯器取替えにお金が掛かるけど、補助金の存在を説明してくれて手伝ってくれるガス屋さん、寄り添ってくれる事業者かどうかが問われるのではないでしょうか。
人は誰でも喜ばれることが何かをやるモチベーションになります。特に若い人たちに「お客様に喜ばれる仕事の在り方」を、今のベテランの人たちには教えてもらいたい。若い人たちもそれを求めているはず、臨んでいるはずです。みんなでトコトン、ユーザー目線で考える。必ず良い結果が生まれると思います。


