昨日、今日と日経新聞を賑わせております、三菱商事の洋上風力発電撤退のニュースですが、そもそも論として、
洋上風力発電って、本当に日本に要るんですか?
というところから始めます。
日常の体感として、風ってそんなに吹いてますかね?「海の上は陸とは違うから」-確かにそうかもなんですが、ヨーロッパは偏西風が吹きまくっているのに比べますと、日本はそんなに風が年がら年中、吹いているわけではありません。新幹線で西の方によく行きますが、静岡あたりの大きな工場にある大きな風車、回ってるの一度も見たことないですもん。
またその昔、青森県と仕事をしていたことがありまして、六ケ所村のウインドファームを見学させてもらったんです。60基ぐらいの風車があったんですが、中央コントロール室の運転員さんが、「定格の3割動けばいい方なんですよねー」と仰っていたのが強く記憶に残ってます。風がよく吹くと言われていたあの場所でそれ。
何年か前に鹿児島は枕崎のお客さんのところに行ったときに道路が封鎖されておりまして、聞きましたら「風力発電の羽が台風で折れちゃって、代わりを搬送するのに超大型トレーラーが入るってんで、道路が通行止めなんだよねー」・・・そうなんです、強い風に風車は弱い(笑)。いや、これ洋上なんてやったら、メンテナンスどれだけ大変だか分かります?
そもそも風でギヤを回転させるわけで、定期的に潤滑油ささなきゃならない。それ、洋上まで船で行って誰が登ってやるんですか?という話。台風で大量に羽が折れて海に沈んだら、回収しないと環境的にもマズい。そんなこんなで、まずもって発電効率が悪そうなうえに、コストも甚大に掛かりそう、というのが計算しなくても体感で分かる話。
それを4年前ですか?秋田県由利本荘で12円/kWh切った価格で落札した三菱商事さん。当時、率直に思いましたのは、「絶対に元が取れない」。そりゃそうですよ、当時の高圧の平均販売価格が18円/kWhですよ?それでも黒字が厳しい電力会社、そんな中で国が定めた上限価格の半分以下って。
資材価格の高騰等を撤退の主因にされておりますが、それが無くても元は取れなかったはず。大量生産で原価が下がった欧州の例を引き合いに出して、コスト計算上は成り立つと思っていた等とも仰っておりますが、そもそも風が吹く環境が違うんですよ!環境が!分かってますかね?
そして一方、価格だけで選んだ方も悪い。確か秋田の由利本荘ではレノバが現地に事務所まで作って、地元への説明に奔走されていたと記憶してます。そういうところは評価せずに価格だけで選んでしまった。私に言わせればどっちもどっちです。
欧州は風という欧州に固有の自然エネルギーを上手く活用して風力発電を拡げてきたんです。日本には地熱があるじゃないですか。こちらも温泉地とか国立公園とか環境アセスの問題がありますが、何といっても豊富にあるんです、火山列島ですから。時間が掛かるから短期利益志向型の企業はやりたがらないんですが、そういうところにこそ、国が国家百年の計をもって取り組むべきなんです。
国も企業も、もう少し風力発電の実態について精査すべきだと思いますよ?いま、日本で実稼働している風力発電で「コストに見合っている」とか、そんな記事すらお目にかかったことがない。本当に日本にとって必要な再生可能エネルギーは何なのか。十年、百年先を考えていま取り組まねばならないことは何なのか。熟考して欲しいと願うところです。


