リンカーン大統領は、最高司令官の人選にあたって、グラント将軍の酒好きを参謀から注意されたとき、「銘柄がわかれば、他の将軍たちにも贈りなさい」といったという。ケンタッキーとイリノイの開拓地で育ったリンカーンは、飲酒の危険は十分に承知していた。しかし北軍の将軍の中で、常に勝利をもたらしてくれたのはグラントだった。事実、彼を最高司令官に任命したことが南北戦争の転換点となった。酒好きという弱みではなく、戦い上手という強みに基づいて司令官を選んだためにリンカーンの人事は成功した。
『経営者の条件【P.F.ドラッカー】』より
私がいた会社が超保守的な石油会社だったということもありまして、バランスの取れた人が重視されておりました。
特に先人たちによって築き上げられたビジネスモデルによって食べていける土台があり、組織の関心事が「いかに維持するか」に力点が置かれていた以上、個々人に特筆すべき能力は求められていなかったのかもしれません。
しかし、もうそんな時代はとっくに終わりを告げ、新たな何かを開拓していかない以上、この変化の激しく大きな時代の中では生き残ってはいけない。
何を大事にするべきかは、昨日の「問題より機会に焦点を合わせる」とほぼ同じことで、「弱みより強みにスポットライトを当てる」こと。
例えば、イーロン・マスクに経理の仕事をさせるより、宇宙開発の仕事に打ち込ませた方がよほど人類のためになります🤣
・・例えがぶっ飛びましたが笑、「あいつはここが駄目なんだよなー」なんてどうでもいいのです。若い頃の指導が必要な局面ならまだしも、中堅社員にそんな粗探ししても何の意味もありません。
「あいつはここが凄いから、これに向いてる!」-この視点で人事異動や組織改良をせねばならんのです。
さらにドラッカーは、日本人経営者にありがちな点をチクチクと突いてきます。
・人に成果をあげさせるには、「自分とうまくいっているか」を考えてはならない。
「いかなる貢献ができるか」を問わなければならない。「何ができないか」を考えてもならない。「何を非常によくできるか」を考えなければならない。
・「手放せない。いなくては困る」という声に耳を貸してはならない。
-「欠くことができない」といわれる者は、なんとしてでも直ちに異動させるべきである。さもなければその者の強みを壊してしまう。
この「欠くことができない」について、ドラッカーはある大手チェーンストアの社長の言葉を引き合いに出しておりますが、「上司が弱いか、部下が弱いか、両方が弱いかのいずれかである」。
なので、こういう事象が生じたら自動的に異動させていたそうですよ。言われてみれば、サラリーマン時代の自分にも思い当たる節があります(反省)。
「あいつは動かさないでください!」という時って、「自分が困るから」なんですよね、理由の全てと言っていいと思います。
組織を強く大きく成長させたいのであれば、好き嫌いとか、居なくなったら困るという物差しを使ってはいけません。「この人には何ができるか」を最優先に考えていきましょう。

