どちらかと言うと、エネルギー業界全般に言えることですが、「問題に対処」する仕事が多いような気がします。「お客さんからこんなクレーム来ました!」「ちょっと、ガスの開栓、急いで!」。日常のルーティンワークに加えて、突発事象への対応、これらをひっくるめて「昨日の仕事」と仮置きします。
それに対して、「三部料金制移行、どうやってお客さんを獲得していくか」「価格競争に陥らないために、どういう価値で訴えていくべきか」「地域との密接な関係を作るために市と災害協定を結ばないか?」といった、日常業務とは異なりますが、会社の将来を考えての施策の検討、これを「明日の仕事」としましょう。
皆さんは「昨日の仕事」と「明日の仕事」、どちらの比重が大きいですか?
圧倒的に前者ですよね。私もサラリーマン時代、そうでした。なので、これからの会社にとって大事な「明日の仕事」は、トップが相当に強い意識をもって臨まないと、なかなか社員もそちらに注力できません。ドラッカーいわく『エグゼクティブたる者は、外部の現実の世界に直接触れるべく特別の努力を払わないかぎり、組織の内部に焦点を合わせることとなる』
私がいた会社は『昨日の仕事≒問題』に重きを置き、旧来から続いている仕事に優秀な人間を割り当て、『明日の仕事≒機会』には、旧来の部署で不要な人間を少なからず就かせていました。こんなことで、明日が創れるわけがありません。優秀な人間を日常業務に埋没させるのではなく、『機会』に重点的に投入する。これこそが本来のHR(Human Resources)マネジメントのはず。
ドラッカーは『優先順位の決定について最も重要なことは分析ではなく勇気である』と言っています。これは経営トップの決断と言い換えてもいいでしょう。
『優先順位の決定については、いくつか重要な原則がある。
第一に、“過去”ではなく“未来”を選ぶ。
第二に、“問題”ではなく“機会”に焦点を合わせる。
第三に、“横並び”ではなく“独自性”を持つ。
第四に、“無難で容易なもの”ではなく“変革をもたらすもの”を選ぶ。
恐らく、いや間違いなく、スタートアップと呼ばれる新興企業群は、未来、機会、独自性、変革に焦点を当てて、日々社会課題の解決に向けて邁進していると思います。ガス事業者も負けずに、明日の仕事を増やしていきましょう。生き残るために!

